図書館員が薦めるこの1冊『滑走路』

2023.09.04

「短歌って何?」と質問されたら、あなたは何と答えますか?わたしは、この歌集の一句を、質問の答えとして紹介したいと思います。

 抑圧されたままでいるなよ 
ぼくたちは三十一文字で
鳥になるのだ

(引用:『歌集 滑走路』,萩原慎一郎 [著], KADOKAWA ,2020年,p14)

短歌は31文字の言葉でできた短い詩です。

たった31文字。されど、31文字。

「国語の授業で習ったけれど、それ以外では読んだことがない」という人にも、この短い言葉に心動かされる不思議を、ぜひ味わってみてほしいです。

2021年頃から、snsでは短歌ブームが静かに続いています。この歌集『滑走路』も、現代を生きる人の思いを表現した歌が多く、読んでいるうちに「この歌、自分のことみたい」と共感する歌に出会えるのではないでしょうか。この共感が、うれしいことは何倍にも、つらいことは少しだけ軽く、してくれるように思うのです。